EL32

オーディオ用五極出力管EL32です。別名にVT52, CV1052, 10E/11398があります。米WEのVT52 (45 Special)とは別物ですので混同しないよう注意です。

EL32はサイドコンタクト管EL2をオクタル8ピンにしたものです。元々はカーラジオに利用されていたようです。管頂にグリッドが出ています。外形は特徴的なスラッとしたダルマ(ST)型のものとストレートなチューブラ型のものがあります。また、それぞれ、管壁がカーボンスートされたものとクリアなものとがあります。Mullard製とPhilips製はST型とチューブラ型の両方を、Canadian GE製はチューブラ型をよく見掛けます。

内部構造から察するに、ST型のMullard製とPhilips製は同じ工場で生産されたのではないかと思います。

ヒーターは6.3V 0.2Aという電圧増幅管並の消費電力ですが、音質について、巷の評価は高いです。ぺるけさんの掲示板(ログ)でも絶賛されていますし、森川忠勇さんの書籍『オーディオ真空管アンプ設計制作テクニック』でも隠れた銘球として紹介されています(20P1シングルアンプのドライバに使われています)。

ただし、三結にしても内部抵抗が3kΩ程度ありますので、負荷をどうするか悩ましいところ。4Ωの端子に8Ωを繋いで、トランスの一次側インピーダンスを倍にしてしまうのが無難でしょうか。

入手については、秋葉原のサンエイさんにCanadian GEのチューブラ型が売られています。同じものがアムトランスでは3倍の価格です(ただし、アムトランスでは特性を測定済みなので安心して購入できます)。春日無線にはMullard製のST型が売られていますが、サンエイさんの4倍。正直、ちょっと手が出せません。他のショップでは不定期に入荷されるのを待つしかなさそうです。

海外に目を向ければ、多少は安価で入手できます。Canadian GE製であれば、eBayで10本$60程度です。ST型は中々見掛けませんが、$10前後で売られているショップもありますので、根気よく捜してみて下さい。

Philips Miniwatt EL32

Philips MiniwattブランドのEL32を入手しました。ST型でクリアガラスのものです。トップグリッドがちょっと緩んでいるものもありますが、気にしない方向で。

上述しましたが、このST型クリアガラスのEL32はMullardのものと内部構造が酷似しています。そもそもMullardが1925年にPhilipsに買収されていますので、同一の工場で生産されたものに別のロゴを付けただけの可能性大です。そこでエッチングコードを確認してみました。

Philips Miniwattブランドのものは “1005-1 IMCA” です。FrankさんのサイトにあるPHILIPS FACTORY VALVE CODESで確認したところ、ファクトリコードが “I” なので “Thorn-AEI Radio valve Co. Ltd. (Ediswan) , Mullard supply” とのことです。ただ、タイプコードがEL32の “M0” ではないのが気になるところ。

さて、自宅の在庫をST型のEL32を何本か確認してみたところ、ファクトリコードが “I” のものと “B” のものが混在しておりました。”B”はMullard Blackburn工場製であることを示しています。ということで、MullardブランドのEL32とPhilips MiniwattブランドのEL32はまったく同じ、という訳ではなさそう。また、よく捜してみると、内部構造が微妙に違うEL32もありました。この辺はもちっと調べてみる必要がありそうです。

ちなみに、MiniwattとはPhilipsによる省電力型の真空管に付けられたブランドだそうです。

Philips EL32 外観Philips EL32 エッチングPhilips EL32 グリッド巻線Philips EL32 ステム

Mullard EL32

Mullard EL32を入手しました。ST型のクリアガラスのものと、チューブラ型のカーボンスートされたものの2種類です。

前者はPhilips Miniwattブランドと同じく””のエッチングコードがありますが、後者のものは”M0x Bxxx”です。後者のものはタイプコードが”M0″ = EL32であることから、Philipsのエッチングコードに従っているであろうことが分かります。おそらくBlackburn工場製であることも間違いないでしょう。

ST型のものはPhilips Miniwattのものとほぼ同型なので詳細はそちらの記事を参照のこと。ここではチューブラ型のEL32について書いてみます。

チューブラ型のMullard EL32には茶ベースのものと黒ベースのものとがあるようです。いずれもBlackburn工場製です。茶ベースの方が背が高くスラッとした印象、黒ベースの方はややズングリした印象です。どちらもカーボンスートされているので内部構造ははっきりとは分かりませんが、ST型にあった卍型の電極保持専用のマイカがなくなり、電極成形用のマイカが電極保持も担うようになっているようです。

プレートボックスそのものの外観はST型と同じですし、電極の出方、マイカの支持の仕方もほぼ同じですので、電極の構造も(おそらく)同じでしょう。

Mullard EL32Mullard EL32 エッチングコードMullard EL32 管頂

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