全段定電流シングルアンプ

注) この全段定電流シングルアンプは初段信号ループに問題があり、頓挫しています。ご注意下さい。

全段定電流シングルアンプのアイディアは、ぺるけさん配布のミニワッター汎用シャーシを使ったミニワッターの構想が発端でした。全段差動PPアンプのように、信号ループからアースを排除したシングルアンプを作れないものか、と考えてみたところ、それっぽい回路になってきましたので、実現に向けて構想を進めてみました。

構想 その1

そもそもの発端が「The Single Amp. Project」で配布されるシャーシですし、このシャーシを使ったシングルアンプの書籍も出るそうなのでシングルアンプでいくのが王道なのでしょう。しかしヒネている私は、まず、初段JFETで直結した全段差動プッシュプルアンプを検討してみました。

しかしこれって、真空管式差動ヘッドフォンアンプとほとんど同じ回路になりそうな気がします。そう考えると、ちょっとつまんない気がしないでもないです。そこで、差動PPではなく、出力段を定電流で縛ったシングルアンプにしようと方向転換しました。

構想 その2

オリジナリティなんて追求したところで凡人にホイホイ思い付く訳もないのですが、無い知恵を絞って考えてみました。

…何だかそれっぽいのができました。初段も出力段も定電流で縛り、出力から初段のグリッドへ帰還させます。信号ループがアースに流れないという全段差動っぽい回路になったのですが、これって本当に動作するんですかね。一応、LTSpiceのシミュレーションではそれっぽく動作しましたが、シミュレーションはシミュレーションですので過信は禁物であります。

構想 その3

ミニワッター回路概要初段も出力段も定電流で縛った回路をBSch3Vで清書してみました。回路の概要を把握するために書いたものなので、当然、定数は未定です。

出力段を定電流で縛ったシングルアンプとしては、ぺるけさんの実験がよく知られています。信号ループが最短化され、また、アースが信号ループに入りませんのでクロストークの改善も見込め、また、出力管の暴走もないというものです。ただ、初段は通常のカソード接地増幅ですのでアースが信号ループの一部になります。場合によっては、この初段がクロストーク悪化の原因になる可能性がありそうです。

また、6EM7/6GF7シングル実験アンプでは初段に定電流回路が入っていますが、どちらかというと定電流負荷で利得を稼ぐのが主目的のようで、アースに信号が流れるためか、低域のクロストークはお世辞もよいとは言えません。

ということで、初段も定電流で縛って、信号ループからアースを排除してみました。これで、少なくとも信号ループに関しては、全段差動PPアンプと同じような状態になる訳です。

もちろん、課題がない訳ではありません。初段の利得が高いため、それなりの負帰還を施す必要があります。通常は出力から初段カソード(FETならソース)へオーバーオール負帰還を施すのですが、今回は帰還回路に電流が流れ出して定電流で縛る意味がなくなるっぽいです。そこで、出力から初段ゲートへ帰還させてみました。帰還素子の分だけ感度が悪くなりますが、初段の増幅率が高いので、今回はそれほど問題にはならないでしょう。

実装する際にはまた別の問題(定電流回路の耐圧)があるのですが、それはまた別の機会に検討しましょう。

さて、落ち着いてこの回路を眺めてみたとき、平衡入力の全段差動PPアンプを半分に切って、切れた信号ループをコンデンサで繋いだ回路であることに気付きました。うーむ。だから何? とつっこまれても困ってしまう訳ですが。

構想 その4

回路定数はまだ入れていませんが、出力段に高gmな球を入れた想定で回路図をアップデートしました。それにしてもBSch3Vは便利ですね。

ミニワッター アンプ部回路図まずはアンプ部です。基本的にはこれまでの回路に+αしています。初段はドレインに抵抗を入れてボチボチなところまで利得を下げます。出力段は高gmな出力管を利用する時のようにグリッドに抵抗を入れるとともに、ちょっと大袈裟な気もしますがプレート側にも発振防止の抵抗と空芯コイルを入れてみました。

出力トランスの二次側にはZobel回路を入れて、安定性を確保します。オーバーオール負帰還の素子に並列にCを入れてありますが、これは回路図の上で一応入れてみただけなので、本番でも入れるかどうかは未定。

気になる出力段の定電流回路の耐圧ですが、B電源のリプルフィルタにも使えるような高耐圧トランジスタを採用することで誤魔化します。初段の定電流ダイオードの耐圧も実は気になっています。出力段と違い、すぐに電流が流れるのでおそらく問題ないと思うのですが…

ミニワッター 電源部回路図次に電源部です。基本的にはぺるけさんのミニワッターの電源部をそのまま引いてきました。加えて、直列に入れたダイオードでC-を生成し、B2+, B3+については電圧ドロップ用の抵抗を入れて所定の電圧を得ています。

あと、この回路図からは抜け落ちていますが、出力段のヒーターバイアスもどこかからか取らないといけなさそうです。ぺるけさんの回路と同様、出力段のカソード電位からもらっちゃいましょうか。

構想その5

ここまで初段にJFETを使っていましたが、E182CCのデータシート(12ページ目)を眺めていたら意外と低電圧でもそれらしく動作するっぽいことが分かりました。ということで、双三極管で電圧増幅から出力まで賄えそうな気がしてきました。

ということで回路図を更新。何のことはありません。先日の回路図の初段のJFETを三極管に変えて、出力段プレートに入れていた抵抗とコイルを除いた程度です。

E182CCのデータシートを眺めてみた感じでは、初段はプレート電圧50Vでグリッドバイアスを-2Vでプレート電流が3mAぐらい。このあたりでもrp=6kΩ, gm=3mS程度、つまりμ=18ぐらいあります。出力段のプレート電圧150Vでグリッドバイアスを-5Vとすると、プレート電流は20mAぐらい。

電源電圧が2V+50V+5V+150Vで210V弱、電流は左右の両チャネル合わせて50mA弱。これなら電源トランスは春日のKmB90Fで問題なさそうです。

ということで、E182CCを片チャネルに一本使ったミニワッターを、より具体的に検討してみたいと思います。

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