ヘッドホンのバランス化

概要

バランス出力されるBTLヘッドホンアンプにヘッドホンを接続するには、ヘッドホンをバランス出力に対応させる必要があります。BTLヘッドホンアンプの回路図を見て頂ければ分かると思いますが、出力のhot, coldとでアースから独立した信号ループを構成しています。一般にBTLのBはBridgedのBですが、Balanced Transformer Lessとも呼ばれ、平衡出力になっているのです。アースには信号が流れず、電位を定めるための基準になるだけです。

ここでヘッドホンの入力端子を見てみましょう。通常は、3端子のフォーンプラグになっています。頭(チップ)が左チャネル、胸(リング)が右チャネル、腹(スリーブ)がアースと接続されます。スリーブ(=アース)は左右チャネルで共通になっている訳です。

さて、ここでBTLアンプに戻ります。BTLアンプは平衡出力です。hotは当然のこと、coldもアースとは別モノです。hotもcoldも左右チャネルで共通にすることはできません。これがステレオになる訳ですから2チャンネル分の4本の信号線が必要になります。ということは、通常の3端子のフォーンプラグでは端子が一つ足りません。そこで、ヘッドホンをバランス(平衡)対応させる改造が必要になる訳です。

ここまで何だか小難しいことを書いてきましたが、要は左右チャネルのアースをそれぞれ独立した配線にすればバランス化できます。これまでの+端子にhotを繋ぎ、アース(-)端子にcoldを繋ぎます。左右でこの+と-が食い違うと左右チャネルの位相が変わってしまいますのでご注意を。

コネクタ

ヘッドホン側の入力端子としては、

  • 3極XLRコネクタを左右チャネルごとに用意 (= 2コ必要)
  • 5極XLRコネクタで両チャネルをまかなう (= 1コ必要)

あたりが無難な選択でしょうか。ちなみに、3極XLRコネクタは1番がアース、2番がhot、3番がcoldとなります。5極XLRコネクタでは、1番がアース、2番が左chのhot、3番が左chのcold、4番が右chのhot、5番が右chのcoldとなります。ここら辺については、標準化団体AES (Audio Engineering Society)の規格AES14-1992に定められています。

XLRコネクタのオス/メスについても軽く説明しておきます。3極ヘッドホンプラグなら、通常、配線側がオス(プラグ)で機材側がメス(ジャック)です。しかしXLRコネクタの場合はちょっと違います。

XLRコネクタの基本は、出力がオスで入力がメスです。配線側のコネクタはプラグ、機材側はリセプタクルと呼びます。ですので、ヘッドホンアンプの出力端子はオスのリセプタクル、ヘッドホン側はメスのプラグとなります。オス/メスについても、上述の規格にて定められています。

ケーブル

ケーブルにシールド線を使わない場合、プラグのアース端子(1番)は開放のままで問題ないと思います。フォーンプラグ(不平衡出力)との変換ケーブルを作成する場合は、変換ケーブルのフォーンプラグ側で左右チャネルのcoldをアースに接続すればよさげ。

バランス対応の結果、三端子ではアースラインが左右チャネルで共通だったために存在していた共通インピーダンスがなくなり、クロストークの軽減に繋がります。その他、定位感や音像、音場感などの改善などもあるようですが、ここら辺の効果は私には説明できないので割愛。

実際のヘッドホンにおいては、例えばアニメ「けいおん!」で一躍有名になったAKG K701は実は4芯ケーブルですので、ケーブルの交換は不要です。フォーンプラグを切り落としてXLRコネクタを繋ぐだけでOK。AKG K701を実際にバランス化した記事はこちら

一般的なヘッドホン、例えばSONY MDR-CD900STなどは3芯ケーブルですので、ケーブルそのものの交換が必要です。4芯ケーブル(のシールド線、不要かも知れませんが)に交換しましょう。よくあるのはスターカッド(星型カッド)の4芯ケーブルですが、よりクロストークに強いツイストペアケーブルで構成されるLANケーブルなんてのも適性があるかも知れません。MDR-CD900STのケーブルを交換してバランス化した際の記事はこちら

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