book review」カテゴリーアーカイブ

理解しながら作るヘッドホン・アンプ

書籍『情熱の真空管アンプ』でおなじみ、ぺるけ師匠こと木村哲さんの新著です。ウェブサイト「情熱の真空管」で公開されているFET式差動ヘッドホンアンプ(DC12V 改訂版)を一部改修したヘッドホンアンプについて、回路の説明がなされています。改修箇所はこんなところ。 初段定電流回路がカレントミラーに 初段FETのバイアス調整VR追加 ケミコンはすべて470uF/16Vをパラで この書籍でヘッドホンアンプを設計できるようになれるものではありませんが、なぜこのような回路になっているのか、について逐一説明がなされています。定電流回路の比較やダイヤモンドバッファの解説などなど、参考になります。また、製作過程についても回路設計、部品集めからトラブルシューティング、測定に至るまで解説してあります。特にトラブルシューティングは参考になるのではないでしょうか。巻末の部品や工具についての章も参考になります。

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真空管アンプの「しくみ」と「基本」

Ayumiのハンドルネームでおなじみ、Ayumi’s Labを運営される中林歩さんによる、真空管アンプ設計の解説書です。既存の書籍と違うのは、回路シミュレータを積極的に活用しているところです。 これまでの真空管アンプ設計の書籍と言えば、入門書はデッドコピーのための回路見本、中上級者向けは小難しい数式が並んでいるものが多かったように思います。回路定数一つにしても、「なぜこの値なのか」「この値を変えるとどうなるのか」「この部品の意味は?」「この部品を省略するとどうなる?」といった疑問に応えられるものは少なかったなかったように思います (そんな書籍があるなら教えて下さいホント)。 そこに登場したのがこの書籍です。PC上でのシミュレーションですから、高価な機材を購入する必要もなく、多数のパーツを購入する必要もなく、そしてハンダごてを振り回す必要もなく、様々な実験回路を試すことができます。 この書籍で採用されている回路シミュレータは、TI公認のTINAというSpice準拠のシミュレータです。収録されている真空管のSpiceモデルもAyumiさん自作の精度の高いものとなっており、国産の出力トランスのモデルが収録されているのも魅力的です。 2台目の真空管アンプを自分で設計してみたいけど、例えば回路定数が適切なのかどうか迷ってしまう、そんな脱初心者を志す方にお薦めの一冊であります。

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真空管アンプ設計製作自在 全面改訂版

『真空管アンプ設計製作自在』は、長真弓さんの名著『真空管アンプ設計自由自在』と『真空管アンプ製作自由自在』を1冊にまとめた全面改訂版です。『~設計自由自在』は1990年の著作ですから、約20年振りの改訂です。A5版からB4版にサイズアップし、テキストも読みやすくなり、特に写真は鮮明になっています。 『~設計自由自在』と比較して、ページ数は多少減りました。その代わりに作例が3つほど掲載されています。真空管のデータシートからは整流管が削除され、6CW5やEL156などが追加されています。また、巻末に索引がないのが不便ですが、これは『~設計自由自在』の頃のままなのが残念です。 内容はしっかりupdateされています。特に、差動反転回路や全段差動PPアンプについても言及されているあたり、只者ではありません。同相ノイズやクロストーク、電源インピーダンスなどの差動アンプのメリットについてもきっちり明記されています。ただし、超3結はスルー。残念。 初心者がこの書籍を手に取ってアンプを自作するのは困難でしょう。他の入門書で1台はアンプを作成した後に、2台目3台目を製作する際の参考とするのがよさげ。

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真空管の歴史書2冊

真空管の歴史に関する書籍を2冊購入しました。一冊は『クラシック・ヴァルヴ』、もう一冊は『真空管70年の歴史』です。前者はMJ誌で同様の記事を連載されていた大塚久さんによる書籍です。米国管のみならず、欧州管や国産の球についての記述も豊富です。後者は “Saga of the Vacuum Tube” とともにバイブルとも称されるジョン・W・ストークスの “70 Years of Radio Tubes and Valves” の邦訳です。こちらは米国や英国などの英語圏の真空管の情報が豊富です。 ただし、両書とも歴史書的な側面が強いため、古典管の記述が多く、近代管についてはほとんど記述されていません。また、後者は英語圏以外の真空管はスルー気味です。テレビ管(駄球)についてはほんの少ししか記載されておりません。また、ロシアなど東側諸国の管についても、ほとんどまったく記述はありません。このあたりには歴史の別な側面を感じさせられます。 なお、歴史書ですので、読み物としては非常に興味深いのですが、当然のようにアンプ設計には何の参考にもなりません。前者はすでに絶版となっており、古本として入手するしかありません。後者は現行書籍ですが、いつ絶版になるか分かりませんので興味のある方はお早めに。

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Smalltalkで学ぶオブジェクト指向プログラミングの本質

Smalltalkers’ Salon MLにて、著者3名の直筆サイン本を送料込みで\4,000で販売! という案内を読み、購入を決定。通称「ブラックブック」です。 ざっと「はじめに」に目を通しましたが、「普通のプログラミングの本ではない」というのが第一印象。何やら哲学的なことが書いてあります。これは読み応えのありそうな一冊です。また、Smalltalkの初級者、中級者、上級者の3名による著作ですので、それぞれのステージに合致した学習が期待できそう。このところ、電子電気の本ばかり読んでいたので、ちょっとした気分転換も兼ねてじっくりと読み進めたいですね。

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はじめての真空管アンプ

タイトルそのまま、真空管アンプ初心者向けの書籍です。 著者の黒川さんは、初段・ドライバ段に低rp球を採用して広帯域を実現する出力段位相補正アンプを長年提案している、真空管アンプ設計のベテランです。懐古趣味に走ることなく、CD等の現代的なソースにも通用する真空管アンプを実装するためのノウハウが掲載されています。 本書の目標は300Bのシングルアンプを実装することなのですが、そこだけに集中することはありません。この書籍だけでアンプを設計できるようになるかどうかは微妙なところではありますが、初心者向きかつメタな、しかし詳細な知識を得られるという点では、ぺるけさんの『情熱の真空管』以上に価値のある本だと思います。 まずとにかく真空管アンプを作りたいという方には『情熱の真空管』、もうちょっと腰を据えて学びたい方にはこの書籍、一生の趣味にしたいという初学者の方には両方の書籍をお薦めします。この二冊がちょうど補完関係になるかと思います。

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情熱の真空管アンプ

情熱の真空管というサイトを運営するぺるけ師匠こと、木村哲さんの著作。初段から出力段まで差動回路を用いた全段差動プッシュプルアンプの製作について、丁寧に記述されています。 しかし、ただ全段差動PPアンプを作成するための情報だけではなく、真空管による増幅回路の設計法から負帰還、アース回路といった周辺技術まで、真空管アンプを設計するために必要な一通りのノウハウが記載されています。この本を読了すれば、自力で全段差動PPアンプを設計できるところまで身に付けることができることでしょう。巻末の真空管データシートも便利です。 設計思想が非常に合理的で、真空管アンプに半導体を遠慮なく採用するなど、私も多大な影響を受けています。上述のサイトと併わせて活用できる、真空管アンプ初心者必携の一冊です。

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