E182CC全段定電流直結シングルアンプ 構想その1

全段定電流直結シングルアンプ アンプ部 回路図前回の記事から少し間が開きましたが、ミニワッター構想はまだまだ深めていきます。

さて、前回は初段もE182CCで賄う方向へシフトしましたが、せっかくなのでこのまま話を進めましょう。前回はおおよその電圧の配分を検討しましたが、今回は実際の回路定数まで入れてみました。

一つの方針として、抵抗等は入手性が高く、一つの部品で済むようE24系列の値を採用しました。そのため、微妙に最適化されていないような気がしないでもないですが、ミニワッターですので出力が多少小さくなろうが気にしない方向で。

まずB電源の電圧ですが、195V巻線を整流して120kΩと1.5MΩで分圧した後にMOS-FETのG-S間で4V落ちるとして、およそ227Vが得られるとします(電源部の回路図はぺるけさんのオリジナル参照のこと)。初段プレート電圧を60Vとすれば、出力段のP-K間におよそ150V供給できます。

まずは初段ですが、その前に定電流回路について検討します。簡単なのはCRD、JFETまたはLM317一発なのですが、初段のVgは2V程度ですのでCRDまたはJFETは使えません。また、電源ON時にB+電圧が信号ループを形成するコンデンサを介してカソードに掛かります。今回の電源回路はフィルタの時定数が大きい(τ≒5.6sec)のでいきなり227Vが掛かるということはありませんが、耐圧35VのLM317を採用するのは不用心です。

そこで、高耐圧トランジスタまたはMOS-FETを使った定電流回路が無難です。ただし、MOS-FETもG-S間の電位が大きめです(要確認ですが、シミュレーションでは3~4Vになりました)ので初段に使えません。※) 高耐圧トランジスタならB-E間電圧が0.6VですのでOKです。ここで注意したいのが、高耐圧トランジスタのうち、内部でダーリントン接続しているものはB-E間が1.1Vぐらいになります。また、B-E間に抵抗が入っているものは小電流では使えないっぽいです。ですので、ダーリントンでない高耐圧トランジスタを選択するのが無難です。ここでは2SC3425を使うことにします。

※) 2010/03/23追記: MOS-FETのG-S間電圧は確かに4V前後になるのですが、D-S間を正電位で確保できれば問題なさそうです。次の記事で定電流回路を再検討しますが、ドレイン側電位が2.6V、TLV431による基準電位が1.24Vなので問題なさげ。

トランジスタを用いた定電流回路と言えば、抵抗一本で済ませるものが楽ですが、定電流特性がよろしくありません。トランジスタをもう一本追加して定電流特性を改善した回路もありますが、B-E間電圧の温度依存性(-2mV/℃)のために、周囲の温度により電流値が変ってしまいます。

そこで今回は、シャント・レギュレータを使うことにしました。2.48VのTL431は初段に使えませんので、1.24VのTLV431(またはそのセカンドソース)で行きます。このTLV431と高耐圧トランジスタのベースへ供給する電流は、B電源から220kΩを介して1mA程度を提供することにします。

ようやく本題に戻ってきました。E182CCのデータシートにある低電流時のEp-Ip特性をプリントアウトします。3mA前後の定電流をTLV431とE24系列の抵抗で得ようとすると、430Ωとの組み合わせで2.88mAとなります。データシートの2.88mAあたりに横線を一本引きます。

適当に当たりをつけて、プレート負荷抵抗は56kΩか62kΩあたりにします。電源電圧が227Vですので、プレート負荷抵抗を56kΩ時には4.05mA、62kΩ時には3.66mA、それぞれ横軸と縦軸の値を直線で結びます。先に引いた2.88mAとの交点が動作点となります。後者ではちょっとバイアスが浅いので、前者の56kΩを採用しましょう。この時、グリッドバイアスは-2.7V程度、P-K間は63V程度でしょうか。

次に出力段です。定電流値を20mAとするための抵抗は62Ωとなります。今度は大電流時のEp-Ip曲線をプリントアウトし、20mAのところに横線を一本引きます。初段のプレート電位(=出力段のグリッド電位)が約66Vですので、残りは160V程度です。ここから、グリッドバイアスと出力トランスの巻線抵抗による降圧分と、出力段のP-K間電圧を得る必要があります。

Ayumi’s Labの記事によると、出力トランスT-1200の一次側(5k)の巻線抵抗は310Ωのようですので、20mA時の降圧はおよそ6Vとなります。残りは約154Vであることを念頭にEp-Ip曲線を眺めてみると、Ep=150V, Ip=20mA, Vg=-4.5Vというポイントが見つかります。ちょうどピッタシですね。素晴らしい。

前述の通り、出力段のグリッド電位はおよそ66Vですので、カソード電位は約70Vです。これがこのまま定電流回路の高耐圧トランジスタに掛かると電力損失(=発熱)が大きくなりそうですので、抵抗でドロップしてあげましょう。カソードとトランジスタの間に3.3kΩの抵抗を挟むことで、トランジスタのコレクタ電位は約4Vとなり、電力損失はおよそ1/20となります。

出力トランスの2次側にはZobel回路を入れました。メインのスピーカーがStirling LS3/5A V2なので11Ωを抱かせていますが、あまり気にしない方向で。もう一つの0.068uFのコンデンサについても、まあこの程度の値でいいでしょう程度です。

負帰還は出力から初段グリッドへ帰還させます。位相に注意して下さい。この回路図上では、・を付けたもの同士が同相ですが、1次側は上、2次側は下の巻線になっています。具体的な負帰還素子の値についてはオープンループの利得などを求める必要があるので、具体的に抵抗値の検討は次回に繰り越します。

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